転職の際、バックグラウンドチェックが入社の条件になることがあります。
海外ではよくあるようですが、日本ではそこまで浸透していないかもしれませんね。
私自身、ある企業に入社するときにバックグラウンドチェックを受けました。
自分の過去を調べられるとなると、一体何をどこまで調べられるんだろう?とすごく不安になりますよね。
また、調査される側だけでなく、バックグラウンドチェックの調査会社に協力する側になった経験もあります。
一緒に働いていた元同僚が転職する際にバックグラウンドチェックを受けることになり、調査協力者として私が指名されたんですね。
「あなたが一緒に働いていた○○さんについて聞きたいので、幾つか質問に答えてもらえますか?」という電話が調査会社からかかってきて、元同僚の勤務態度や仕事内容について詳しく答えるというものでした。
おかげでバックグラウンドチェックではどんなことを聞かれるのか、調査内容を丸ごと知ることができました。
というわけで、この記事では「調査される側」と「調査に協力する側」の両方を経験した私が、バックグラウンドチェックについて詳しく書いていきます。
こんな人に読んでほしい
- バックグラウンドチェックをされることになり、戸惑っている
- バックグラウンドチェックについて詳しく知りたい
- 何をどこまで調べられるのか具体的に知りたい
- 履歴書や職歴に嘘を書いてしまい、内定が取り消されないかと不安になっている
きっとこのページに辿り着いた人の中には、書類に嘘を書いてしまって不安で眠れない方もいると思います。
そういった方は少しでも早く良い結果に繋げるためにも、必要なところをかいつまんで読んでみて下さいね。(目次をクリックすると読みたいところに飛ぶことができます。)
バックグラウンドチェックとは?
バックグラウンドチェックとは、ひとことで言うと「採用候補者の経歴や人物像を調査すること」です。
企業が新しい人を採用する際、「この人を採用したいけど、本当に採用しても問題ない人物なのかを確認したい」という意図で採用活動の一環として行われます。
面接では見抜ききれない人物像や書類内容の真偽について調べることで、採用候補者が信頼できる人物か、実績に嘘はないかなどを確認するための調査ですね。
調査するのは第三者の調査会社です。
企業から依頼を受けた調査会社が、指示された項目について詳しく調べていきます。
調査前には必ず本人の同意書が必要になるので、自分の知らないところで勝手に調査が始まることはありません。
企業の人事担当者から「調査会社にあなたの調査を依頼するけど、いいですね? 以下の項目について調べるけど、同意してくれますね?」という旨の同意書を書くように言われます。
この同意書を提出すると調査に同意したことになり、調査会社による調査がスタートします。
何をどこまで調べられる?気になる調査項目と調査内容
バックグラウンドチェックで調査される項目は、主に以下の 7 つです。
バックグラウンドチェックの主な調査項目
- 学歴
- 職歴・過去の仕事内容
- 勤務態度
- 破産歴
- 民事訴訟歴
- 反社確認(反社会的勢力に属していないか)
- メディアサーチ
上記のことについて裏取り調査が行われます。
他にも企業側の要望によって増えたり減ったりすることもありますが、大きく外れることはないでしょう。
後ろめたいことが有る無しに関わらず、自分について調べられるというのは不安になるものですよね。
具体的な調査内容がわかれば、不安もだいぶ和らぐはずです。
詳しく見ていきましょう。
学歴
学歴の調査は簡単で、まずは卒業証明書を提出するように言われます。
例えば私の場合は大学を 2 回中退しているので、最終学歴は高卒。
というわけで、高校から卒業証明書を取り寄せて転職先の企業に提出しました。
それとは別に調査会社から高校に電話が入ります。
「『るり』という人物は本当に ◯ 年 ◯ 月に卒業していますか?」と電話口で確認するようです。
職歴・過去の仕事内容
職歴と過去の仕事内容については、履歴書や職務経歴書に嘘を書いていなければ何を聞かれても特に心配することはありません。
「この人物は、職歴に書かれた通り、実際に勤務していましたか?書かれた通りの仕事内容でしたか?」と過去の勤務先に電話が入ります。
電話にたまたま出た人が受け答えするわけではなく、誰にインタビューするかは事前に決められています。
私のバックグラウンドチェックでは、前勤務先の直属の上司に電話することになっていました。
また、元同僚(以下、Yさん)のバックグラウンドチェックでは、Y さんから「調査会社からのインタビューをるりさんに受けてほしい」と事前に頼まれたので了承。
後日、調査会社から携帯に電話がかかってきてインタビューを受けました。
Y さんについて聞かれた内容は以下の通りです。
- Y さんと◯◯会社で一緒に働いていたことは間違いないか
- Y さんはどのような姿勢で仕事に望んでいたか
- Y さんの働く姿を見て、どう思ったか
- Y さんと周りの人間関係はどうだったか
- Y さんの長所は何か
- Y さんに直すべき点があるとすれば、どのようなところか
- Y さんを簡単に言い表すとどのような人か
- Y さんの出勤状況はどうだったか
- Y さんとまた仕事をしたいと思うか
それぞれの質問に正直に答えつつも、Y さんの転職がうまくいくよう Y さんの良さがしっかりと伝わるように回答しました。
Y さんのようににインタビューを受けてくれる人を自分で指名できるケースもあるので、前の会社に何人か味方がいると心強いですね。
その他のことについて
破産歴や訴訟歴については官報を調査されるので、過去に裁判を経験した人はそのことが企業に伝わると思っておいたほうがいいでしょう。
反社確認については、反社会勢力の関係者に該当しないかどうか、データベースに照会してチェックされます。
メディアサーチについては、ネット上に好ましくない情報が載っていないかを調査されます。
例えば報道された情報や、Facebook など実名で運用している SNS などもチェックされると思ったほうがいいでしょう。
実名でなくても特定される場合を考慮し、転職に不利になるような投稿(借金がある、仕事をサボって遊んでいる、など)は出さない方が賢明です。
SNS では細かい日常の様子までわかってしまうケースもありますよね。
SNS のアカウントを使い分けたり、SNS に登録するメールアドレスと転職用に使うメールアドレスを分けるなどして、日頃から個人が特定されないように対処しておくと安心ですね。
少なくともバックグラウンドチェックを受けることがわかった時点で、SNS の過去の投稿をできるだけ見直しておくことをオススメします。
履歴書や職歴に嘘を書いてしまって不安になっている人へ
この記事を読んでくださっている方の中には、履歴書や職務経歴書に盛った内容を書いてしまって、嘘がバレることを恐れて不安になっている人もいると思います。
非常に酷なことですが、バックグラウンドチェックはそういった嘘を見抜くための調査なので、まずバレる と思った方がいいです。
嘘をかいてしまった人ができることは 2 つあります。
嘘を書いてしまった人が取るべき行動
- 嘘を書いてしまったことを正直に申告する(入社予定の企業担当者に伝える)
- 内定を取り消されることを想定し、すぐに別の転職先候補を探し始める
何も言わずに調査が終わるのをじっと待つというのもひとつの手ですが、不安な時間が過ぎていくだけです。
嘘の内容が「間違って書いてしまった」と誤魔化せるような軽微な内容であれば、意図的な嘘ではなくミスであったことにしてしまうのもアリかもしれません。
ただ、どう考えてもただの書き間違えでは押し通せないことを誤魔化そうとするのはやめておきましょう。
嘘をどう捉えるかは企業次第
仮に履歴書や職歴に嘘があったことが発覚したとして、それをどう捉えるかは企業の人事担当者によるところです。
嘘をついた時点で一発アウトという人もいるかもしれませんが、事前に嘘について申告したことで情状酌量してくれる人もいるかもしれません。
こればかりは相手が決めることですので、どういう結果になるかはわかりません。
もしも情状酌量の余地があるなら、そこに全ての希望をかけて自己申告しておいたほうがいいですよね。
後からバレるよりずっとマシではないでしょうか。
自己申告するのは非常に勇気のいることですが、ダメ元で事実を伝えるほうが、何もせずに追い詰められながら過ごすよりも良いと思います。
その企業に入りたい気持ちが強いなら尚更ですね。
最後に一発チャレンジするつもりでぶつかってみるか、後から嘘がバレたときに謝るか、「間違えてしまった」で押し通すかの 3 択です。
いずれにせよ転職を成功させるためには次の一手を打っておいたほうがいいので、別の転職先を探す作業だけは最低限進めておきましょう。
二度と嘘をつかないと決めて次に進もう
嘘をついて経歴を誤魔化しても、結果的に自分を苦しめてしまいます。
無駄に不安にならないためにも、次回からは正直な内容で勝負してください。
といっても、嘘を書いてしまう気持ちもわかります。
実は、私自身も一度だけ嘘を書いたことがあるからです。
私がついてしまった嘘
派遣の登録会で最終学歴を申告する際、「大卒」と書いてしまったことがありました。
私は大学を中退しているので、実際には「高卒」です。
家に帰ってから「なんて馬鹿なことをしたんだろう」とものすごく後悔しましたし、生きた心地がしない時間を過ごしました。
その派遣会社を通じて一度仕事が決まったのですが(幸い学歴不問のお仕事でした)、毎日後ろめたさを感じながら過ごしていましたね。
嘘のせいで常にビクビクしていて、胸を張れる瞬間なんてありませんでした。
結局そのお仕事は期間満了で早々に辞め、嘘については言い出せないまま、それ以降はその派遣会社にお世話になっていません。
自分自身のしたことなので自業自得ではありますが、あまりにも苦しかったので、二度と嘘は書かないと誓いました。
だからこそ、嘘をついてしまったつらさは身に沁みてわかります。
嘘をつくと、その後が一番つらいですよね。
精神的に追い詰められますし、仮に嘘をついてどこかの会社に入れたとしてもその後ずーっと怯えて過ごすことになりますから。
上司に声をかけられるたびに「まさかバレた?!」とビクビクすることになるなんて嫌ですよね。
だから、絶対に嘘をついちゃダメです。
1ミリも自分のためになりません。
嘘を書いてしまったからといって別の会社にエントリーすることはできますし、転職するチャンスは他にもあります。
次の転職先を探すために行動を起こすことが一番の救いになりますし、時間を無駄にせずに前を向いて進むほうが自分のためになります。
間違ったことを書いてしまい、後から気づいた場合
意図的に嘘を書くつもりはなくても、履歴書や職歴にうっかり間違った情報を書いてしまい、後から気づくこともありますよね。
例えば前職の入社年月日や退職年月日を間違えてしまったなど、日付に関する間違いはよくあるパターンだと思います。
そんなときは、間違いに気づいた時点で入社予定の企業の担当者に申し出れば問題ありません。
注意不足によるうっかりミスを咎められるかもしれませんが、内定が取り消されるような大事になることは稀でしょう。
調査会社の報告と書類に書かれた内容に食い違いがあるというイメージダウンよりも、事前に自己申告しておく方が印象は良いはずです。
できるだけ早い段階で、大切な書類に間違った情報を書いてしまったことを丁寧に謝罪しましょう。
バックグラウンドチェックについて、よくある質問
バックグラウンドチェックについて、よくある質問をまとめました。
すでに詳しく解説したこともありますが、質問に対してシンプルな言葉で回答しているので、ざっと見ていただくだけでもわからないことがスッキリすると思います。
履歴書、職歴、同意書に嘘を書いたらどうなるの?
バレてしまいます。
採用する側の企業にとって不都合なことや書類の内容に嘘がないかどうかを確かめるのがバックグラウンドチェックの目的なので、当然といえば当然ですね。
内定が取り消されることはあるの?
嘘の内容によっては、取り消しもあり得ます。
企業担当者の判断になりますね。
調査を拒否できる?拒否したらどうなるの?
調査を拒否した場合、採用に不利になることは十分にあり得ます。
実は私自身も一度拒否を試みましたが、調査会社の人から「調査に協力いただけなかったと企業様にそのまま報告するので、かなり印象が悪くなったり採用に不利になることはあると思います」と言われました。
企業によっては、入社の条件である調査を拒否することで、内定を辞退したと見なされるケースもあるかもしれません。
調査結果は教えてもらえるの?
調査結果は教えてもらえません。
調査が完了すると企業に報告が行きますが、調査される側には特に何も知らされません。
調査期間はどのくらい?
私の場合は調査同意書を提出してから 2 週間ほどで調査が完了したようです(人事から特に連絡もないまま入社日を迎えたので、バックグラウンドチェックは無事にクリアできたんだなと)。
前の職場の担当者とうまく連絡がつかない場合などはさらに時間がかかるようですが、2 〜 4 週間と考えておけばよさそうです。
上司がインタビューを受けるの?
上司とは限りません。
インタビューを受ける人は自分で選べる場合もありますし、企業側が指定してくる場合もあります。
自分で選べる場合はラッキーで、自分を評価してくれていた人、仲の良かった元同僚、協力してくれそうな後輩など、自分にとってメリットのある人を指名できます。
企業側が「元上司で」と指定した場合は、それに従うことになります。
元上司との折り合いが悪いと不利ですし、運が悪かったとしか言えませんね。(←私はこのケースでした)
前の職場には連絡しないでほしい!もっと前の勤務先じゃダメ?
これも企業側が指定する内容なので、「前の職場で」と指定されたらそれに従うことになります。
ただ、前の職場を円満に退職していれば良いのですが、そうとも限りませんよね。
私の場合は「前の職場に限る」と指定されており、しかもその前の職場というのがブラック企業で命からがら抜け出したような職場でした。
人事担当者に事情を話し、「前の前の職場にさせてほしい」とお願いしてみましたが、却下されました。
これに関しては企業側の裁量になるのでなんとも言えませんが、ダメ元でお願いしてみるのはアリだと思います。
そういった事情を話しておくことで、調査結果に不利な内容が含まれていたとしても多少は事情を考慮してもらえる余地があると思うので。(←私はこのケースでした)
休職していた場合はどうなるの?
前の職場で休職期間がある場合は、そのことを企業担当者に伝えて相談しましょう。
休職していたことが特に不利になるとも思えませんが、不安なことは事前に自分の口から伝えておくほうが印象が良いですし、調査期間中も変に不安にならずに済みます。
借金があることはバレる?信用調査もされるの?
調査会社がまともな会社であれば、信用調査はされません。
信用情報というのは、決められた目的で、決められた機関でしか確認することができないようになっているからです。
この「決められた目的」というのが重要なのですが、ここで定められた目的の中に「採用の際の身辺調査」は含まれていません。
専門機関が信用情報を照会・開示していいのは、融資の新規契約や増額などの際に、現時点でどのくらいの借入残高があるのかを確認することが目的である場合に限られています。
まともな調査会社は信用情報の利用ルールを破るような調査はしませんが、中には法律スレスレのことをしてでも依頼者が欲しい情報を手に入れる、手段を選ばない調査会社もあるようです。
ただ、一般の企業ならそんなところに依頼しないはずです。
まともな調査会社でも一人当たり 3 〜 5 万円のコストがかか理、信用情報まで無理やり調べるような調査会社に頼むとなると、さらに高額な費用がかかります。
企業としても一人の調査にそこまで高額なコストをかけることはしないでしょうし、借金については自分が口を滑らせない限り他人に漏れることはないと考えて大丈夫です。
まとめ:バックグラウンドチェックとは、経歴と人物像の調査
最後にこの記事の内容をまとめます。
バックグラウンドチェックとは、採用候補者の経歴や人物像を調べて、信頼できる人物か、企業にとって不都合のない人材かを確かめるものです。
転職の際に入社条件になっていることがあり、基本的に拒むことはできません。
調査項目は主に以下の 7 つです。
バックグラウンドチェックの主な調査項目
- 学歴
- 職歴
- 勤務態度
- 破産歴
- 民事訴訟歴
- 反社確認(反社会的勢力に属していないか)
- メディアサーチ
簡単に言ってしまえば、本当に雇っても大丈夫な人なのかを企業側も確かめたいんですよね。
調査費用の相場は、一人あたり 5 万円前後のようです。
けっこうな額ですよね。
雇う側は、それだけの費用をかけてでも採用候補者の「真の顔」を知りたいと思っているということですね。
そのため、やはり嘘は禁物。
何度も言いますが、履歴書や職歴には嘘を書かないようにしましょう。
自分の学歴や職歴に自信がなくても、それをどう捉えるかは相手次第。
学歴不問や経験不問の仕事もたくさんありますから、まずは自分が堂々と勝負できそうな会社を選んでエントリーしてみることをおすすめします。
堂々と過ごしていれば大丈夫
バックグラウンドチェックが行われるのはたいてい書類選考や面接を通過した後ですから、特に問題がなければ次のステップ(入社)に進むのみです。
とはいえ、自分の過去を調べられる時間は落ち着かないものですよね。
私自身、胸を張れるような経歴ではなかったので、万が一内定を取り消されたらどうしようとビクビクしていました。
ただ、バックグラウンドチェックがどんなものなのかを知っていれば、そこまで不安にならかっただろうな…と今は思います。
この記事で、少しでもバックグラウンドチェックについてイメージを掴んでいただけたら幸いです。
ただでさえ不安になりやすい転職活動、少しでも気持ちを軽くして乗り切っていきましょう!
ここまで読んでくださってありがとうございました!